職業柄診療で知りえたことをむやみにこんなところで披露するわけにはいかないのですが…。
先日は10周年のお話がありましたがお祝いにたくさんの方に来ていただきました。
そんな中、彼がやってきたのは昼下がりのある日のこと。
「先生!、ブログみましたよ。10周年。おめでとうございます。どうですかこの機会に一緒にいいとこ行きませんか。当社は鳥○、蒲○をはじめとして今度新しく芦○、それにこれなんかおススメの有○。ロープウェイで登って見晴らしの良い風光明媚なところで有○温泉につかりながらゆっくりしたってください。」
「そんなこと言って、あーた、うちは貧乏ヒマなしでやっているんだからお金も時間もないよ。」
「何言ってんですか、こういうところは先生が行かなきゃ始まらないじゃないですか。」
「あーた、若いのに遊ぶことばっかり考えてちゃいかんがね。見てみやあ、このガランとした待ち合いを。いつもならこの時間は、営業の人が来て仕事をしていかれるというのに、今年の年頭のあいさつでABEさんが働き方改革を断行するとか言って、片やASOさんはまっと仕事せないかんと言ったらしくて、働かせたいのか働かせたくないのかどっちやねんと企業さんはみんなコマっとりゃあすもんで今年になってからめっきりござらん。だから今日はこうやってあーたともお話しする時間があるんだよ。」
「何言ってんですか、僕も営業ですって。」
「なに、あーた、一緒に遊びに行こうとか言わっせるから、てっきりお友達かと思ったに。わし、トモダチあんまりおらんもんでまさか営業の人とは思わんかったわ。まあええわ。ちょっとみせてみやあ。なんじゃこれはえらい広いお庭を作って。こんなところ行ったら、また草むしりが大変やないかい。」
「何言ってんですか、先生。そんな草むしりなんて僕がやっときますって。先生はゆっくりしててもらえばいいんです。」
「そんなこと言って、あーたのほうがそんなええ時計してわしなんか見てみやあ。これうちのDadが還暦のお祝いに町内会でもらってきたのをお前にやるとか言って押し付けられたせ○こーのたぶん1000円くらいのやつだに。あの人自分が要らんもんだとすぐに人にやるもんだから、とにかくそんなええ時計しとる人は草むしりなんてせえへん。」
「それより先生、こんな温泉入ってみたいと思いません?草むしりの後の疲れた体には最高ですよ。」
「うーん、こういう、閉ざされた山奥とか絶海の孤島とか行くとよく事件が起きて、きまって温泉で…」
「そんなのテレビの話だけですよ。先生テレビの見すぎですよ。」
「わしはテレビは見ないけどね。でもいやだよ。全館放送で当ホテルに宿泊のお客様でどなたかお医者さまはいらっしゃいませんか?とか呼ばれるのは。」
「何言ってんですか、先生。そんなの呼びませんよ。それより見てください。どうですかこの眺めの素敵なこと。」
「池があるね。」
「もう、このテラスからさかなたちにエサでも投げたってください。」
「こんな広い素敵な池だと、なにかこう浮かべたくなるね。」
「何言ってんですか、先生。だからそんな死体とか浮きませんから心配しないでください。」
「わしはスワンボートを浮かべたかっただけで一言もそんなことは言っておらんよ。どうやら君は犯人しか知りえないことを知っているようだね。そろそろ本当のことをしゃべって楽になったらどうだね。」
「実は横浜にも今度できるんです。」
「これはまたなんだか、建築学的にかなり無駄な構造のように見えるね。」
「そうですね(否定しない)。じゃあこれなんかどうですか。」
「うんこれは、こっちの高い塔の人が隣の高い塔に行くときにわざわざ下まで降りなくてもいいから便利そうだ。理にかなっとる。」
「何言ってんですか、先生。こっちの人はこっちには行きませんから。」
「じゃあこの部分はいったいなんなの?」
「ここは展望スカイレストランです。」
「うーん、でも雪の深い日とかにオフィスの人が隣のビルに用事があったりした時わざわざブーツに履き替えたり、コートを着たりして用意してから外に出なくてもいいから大変好評だと聞いたことがあるよ。」
「何言ってんですか、先生。これは東京ですよ。」
「東京の人は1cm雪が降ってもたいへんだっていうもんな。高ければ高いビルのほうが登ったとき気持ちいいもんな♪」
「何言ってんですか、先生。先週このパンフレット置いといたのに見てくれてないんでしょう。」
「そんなことないよ。ちゃんとみたよ。」
「じゃあお見積もりの紙も見ていただけましたか?」
「そんなの入ってなかったけどなあ。まあじゃあ聞いちゃうけど。いったいいくらなの。」
「○○○万円です。これで永久リゾート会員で相続もできます。さらに今ならDX会員様になられますともれなくこちらの特典もつきます。」
「○○○万円ってそんなに福沢諭吉大先生が○○○万人もいたら日本人の20人に1人が諭吉さんだよ。そんなの想像したらなんかイヤになっちゃった。それに特典のプリンターなら間に合ってるよ。」
あえて申し上げておきますが、彼の会社は地元名古屋が誇る超一流優良企業さんです。応援してます。
でもセールスはお断りさせてください。
自分、本当に貧乏ヒマなしでおまけに不器用な人間ですのでお許しください。
さあ次の扉をノックしよう。
もっと気前のよいはずのお客様を探す終わりなき旅♪。各地の素敵な建物の詳しくはWebで、検索!