第27話 射手座の日

私が毎年夏になるとですね、決まって行くいきつけのスイカ屋さんがあるんです。それで毎年ですね、そこのおじちゃんにどのスイカがいいか聞くんですね。するとおじちゃんは毎年おんなじ「スイカ棒」を取り出してコンコンと確かめたり、持ち上げてみたり、しましまの数を数えてみたり、日にすかしてみたりしてこれぞというスイカを選んでくれるんです。そしていつも毎年かならず最後にこんなことを言うんです。

「うーん、まあスイカはな、切ってみんとわからんでな。」と

うちのこはこだま れいぞうこにいれてもおじゃまじゃないよ。

この一番すてきな季節は時間が過ぎるのも早いのか、もう8月。すいかもそろそろシーズン終了となるとその中身もまあ知れている。それでもスイカ屋さんの店先にはスイカが並びます。「おじちゃん。どのスイカがいい?」聞かれたおじちゃんはあの手この手を使って最後にその神の手で選び抜かれたスイカをすすめるのです。あの殺し文句ととともに。

ホントはもうとっくにイマイチだと知っていても

切ってみた。薄皮の上々。

イスラエルのスイカ屋さんが言いました。もうF産もM産も甘味はイマイチだと。かろうじて水けはあるけど好きな人ならまだ食べれんことはない。まあどっちにしても「すいかは切ってみんとわからん。」と

そうするとまだ3回しかスイカ食べてない人はどうするの?と不安になるかもしれません。が、しかし4回目のスイカはそういうわけでどうしたっていまいちなんだそうだ。イマイチどころかイマサンだとしてもお百姓さんやスイカ屋さんは本当の事をなかなか言えません。だって自分が丹精込めて作ったスイカの出来が悪いというのは勇気がいるんです。それにまだ腐っているわけではなくちょっと味が落ちただけならできれば捨てずにだれかに食べてもらえないかと思うものなんです。

きいないのもできた♪

でも安心してください。スイカ屋さんだってもう旬が過ぎたようなスイカをいつまでも仕入れたりはしません。店内にある分のスイカだけ。そのあとは?おたのしみ、みんなご期待の「クリキントン」の季節です。あの半人半馬の怪物「ケンタウルス君」をもギャフンと言わしめるようなクリキントンができたら…またならんで予約しに行かなくっちゃ。あっ、4回やった人は最低○ヶ月はあけてからしかクーポンが来ませんとかいう設定だったらどうしよう!?

いただきマンモス。🐘

おすすめ記事