すべては実戦実地。いくらシュミレーションで高得点を挙げたからと言って、戦場では生き残った者の方が勝ちなのである。ましてや栄養指導などというイシャと患者様。1対1のサシでの勝負では先に動いた方が負けなのである。
「ですから奥様の場合、心疾患などを予防すると言った期待をこめてコレステロールを下げるおくすりをよばれていただいておりますので…」フンフンと静聴される池田様(仮)。「一概には言えませんが、わたしのおススメするようなお食事をたべていただければ悪玉コレステロールが下がるカモしれないなと。まずはたっぷりの野菜と…。」そこで初めて彼女は動いた。「わたくし、お野菜はすべて自宅で作っているザマスから。」「ええと、それはおかってで煮炊きをするとかではなくて…」「うちは、畑で土からつくって、育てているザマスから。Yーチューブでも『池田おばちゃんのイケイケ畑通信』ってやってるザマスから。フォローワーも〇〇件超えちゃってるザマスから。」「そ、それはスゴイですね(汗)。」「このとしでおとうさんとせがれと孫のごはん作らないかんザマス。朝の5時からみんなの弁当作ったらないかんザマス。」ああ、こんな偉大な奥さまに私のようなものが「目玉焼きは半熟じゃなきゃイヤ」とか、なんて自分は汚れた人間だったのかと。謝罪させていただきます。もうね。でてきたものを「いただきます」と言っていただくだけです。フードロスとかペーパーレスとかこんなん紙のムダだとか文句言いませんし、どんなに残したって食料自給率も気にしません。畑には盆も正月もないとはよく言ったものです。もう2度とみそ汁の具になすびは入れるなとか味が混ざるから3種類以上入れてはいけないとかどうのこうの言いません。最後に一つだけお願いさせてください。
「今度講師、いや師匠としてお招きするので何卒うちの待合で私の代わりにカウンセラーしていただけませんでしょうか?」